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ガソリン用添加剤:
ガソリン用添加剤は大きく分けて、コンポーネントとパッケージに分けられます。コンポーネントとは、単品の化学物質(必ずしも純度100%の化学物質ではありません。)ではありませんが、ある特定の目的に作られた添加剤です。 一般市場には市販されていません。 パッケージとは、コンポーネントを組み合わせて作られ、ガソリンに要求される性能を総合的にアップするようにしています。 この多くは、精油所向けに造られたものと、アフターマーケット(ボトルに詰めて一般に市販されているもの。)とがあります。
コンポーネントの種類と働き:
コンポーネントは非常に多くの種類があります。 主なものには
1.
清浄剤 エンジンの汚れを除去します。
2.
オクタン価向上剤 オクタン価をアップします。
3.
酸化防止剤 ガソリン自体の酸化によるスラッジの生成を抑制します。
4.
防錆剤 金属のさびを防ぎます。
5.
金属不活性剤 銅やアルミなどの腐食を防ぎます。
6.
シール保護剤 シール剤を保護します。
7.
減摩擦剤(フリクション・モディファイア:FM剤と呼ばれています。) 摩擦を低減します。
8.
減磨耗剤 エンジンの磨耗を防ぎます。
9.
水抜き剤 ガソリンタンクの水を取り除きます。
これらの添加剤もそれぞれ多くの種類があり、性能も異なっています。 パッケージは上記コンポーネントを組み合わせたもので、清浄剤を主体としています。
清浄剤の種類と特徴:
ガソリン用清浄剤には、大きく分けて4種あります。
1.
PIB-A
2.
PEA
3.
Mannich
4. Succinimide
日本のハイオクに使用されているものはこのうち3種で、Succinimideは、その性能に問題があり、現在国内では使用されていません。 国内で使用されている3種も性能差があります。 しかしハイオクに使用される添加量は非常に低い為、大きな差がないのが現状です。 それゆえ、差別化商品とするには無理があり石油元売のホームペイジを見ても、特別目新しい点はありません。
しかし、市販の添加剤は、同じ添加剤を10〜40倍も入れて使用します。 この為、添加剤の選択と使用には注意が必要です。 この中で、最も性能がいいのはどれかが一番興味があることだと思います。 添加剤開発の中心はあくまで元売が使用する事を前提として開発している事がほとんどです。 つまり性能と価格のバランスが重視されています。 ですから、どの添加剤が一番優れていると言うことは添加剤業界での見方と通常の性能だけを考える場合とは異なります。 元添加剤開発者としては、現在市販の添加剤開発者に対して少しだけ敬意を払っておいた上であえてその性能は、はっきりさせると、
1.PIB-A
PIB-Aもその分子量や製造方法で違いがあります。 その点は各社のノウハウでありここでは
触れないようにします。 PIB-Aの特性として、単独ではデポジット(カーボン・スラッジなどの
汚れの総称)を取り除く性能が発揮できず必ずオイル(キャリアオイルと呼ばれます)を混ぜて
使用されています。 PIB-A単独では、弱い為、添加しています。 このオイルの選択がPIB-A
の性能に大きく影響しています。 つまり、オイルに合成油(PAOやエステル系)か、石油から
精製されたオイルや或いはそのブレンド品です。 IVDやIDを除去する場合にはその差は僅か
ですが、このオイルが燃焼室の汚れを増加させてしまう傾向があります。このため、燃えやす
いオイルを選択することが必要ですが、あまり燃焼しやすい軽いオイルだと、汚れを除去する
性能等に影響する為、キャリアオイルの選択は非常に難しく単純ではありません。
やっと良いキャリアオイルを選んでも、燃焼室の汚れCCDを増さないことがせいぜいで、除去する機能は持っていません。 しかし、価格的には安い為、IVDやIDを増やさない(キープ・クリーン)程度、或いは長期使用で少しきれいにする(クリーン・アップ)できる程度ハイオクには添加されています。国内ではBASxの製品が最も安く性能的にもバランスが良い為広く使用されています。
2.PEA(ポリエーテルアミン)
PEA最近市販添加剤で多くなり始めたタイプです。 PEAはバブル時代には殆ど全てのハイオ
クに使用されていたほどで、決して新しい添加剤ではありません。
性能的では最もバランスが取れている為、レギュラーガソリンとの差別化には使用しやすかっ
たものと思われますが、当時非常に高価でした。 O社のOxx48xとか言う製品が有名です。
一番の特徴は、2000〜5000ppm程度ガソリンに添加すると何とCCD(燃焼室のデポジット)が
除去できる。 すなわち、燃料系統からエンジン内部まで全ての汚れを除去できる、優れた商
品です。 しかし、多くのPEAはPEAを含むガソリンが、エンジン油に混ざると(フューエル・ダイ
リューション)エンジン油の粘度上昇などの問題を引き起こす為、高濃度での使用や、エンジン
油交換の長い車(現在欧州車の一部は3万Kmで交換するものもあります。国内のディーラー
では油を取り替えないと儲からないのでメーカー指定より早めの交換を謳っています。国産車
でも1万5千Kmで交換となっている車も増えてきています。)では、長期使用は問題となる場
合がありPEAの添加剤の使用は注意が必要です。 しかし、価格とこの点を除けば非常にすぐ
れた添加剤と言えるでしょう。
現在、一部のハイオクに他の添加剤(原摩擦剤)を加え使用されています。
3. マンニッヒ系
現在この添加剤は、国内では1社だけが販売しています。 マンニッヒ反応により製造された添
加剤で、IVDやIDの除去効果では、同じ添加量で比較すれば、最も優れているようです。 この
為、トリートメント・コスト(添加剤をガソリン等に加えた時にかかる費用)としては、同じ性能・或
いはよりよい性能を得るには比較的有利になる為、現在1社のハイオクに使用されているよう
です。しかし、CCDに関しては、まったく効果がありません。
5.
サクシニマイド系
PIB-Aが登場するまで、使用された添加剤ですが、キャブレター等の汚れには効果があります
が、あるエンジンの性能に影響があり、昔日本国内自動車メーカーが問題にしましたが、石油
メーカ―は何食わぬ顔をしてある日突然他の添加剤に切り替えたことがあるいわくつき添加剤です。現在は使用されていないため、これ以上の説明はしません。
オクタン価向上剤:
オクタン価向上剤は、大きく分けて2種、金属系と含酸素系があります。
金属系オクタン価向上剤で有名なものは、4メチル鉛があり長期にわたり使用されていました。 この添加剤が優れていいたのは、オクタン価を向上させるばかりか、エンジンのバルブのヘッドとのあたり面(バルブ・シート)の潤滑を兼ねておりバルブ・シートが磨耗することを防ぐことです。 しかし、鉛が空気中に発散され人体に入り鉛中毒を起こすことがわかり、現在では使用が禁止されています。 この添加剤を販売していた会社が、新たに開発したMMT(methylcyclopentadienyl manganese tricarbonyl)も海外で使用され始めています。 しかし、国内ではその安全性(重金属を含むため)に対する不安から使用されることは無いと予想されます。
含酸素系添加剤では、MTBE(メチル・ターシャリー・ブチル・エーテル)が有名で、オクタン価向上の為、或いはCO低減の為一部のハイオクに2001年まで使用されていました。 しかし、分子中に酸素を含むため多く入れるとNOxが増加する為日本工業規格JISでは上限で7.0v/v%と規定されています。 実際には自動車メーカーが含酸素系物質(アルコール類或いはエーテル類)には、エンジンに影響が出る事を懸念したことからです。 しかし、MTBE添加の本当の理由はガソリンの価格競争から、海外からガソリンを輸入した場合MTBEを含んでいる場合が多い為で、本来原油に対するガソリンの精製量が多くないわが国では特別必要なものではありません。 また、一般石油基材と異なり水に溶けるため、井戸水を汚染し臭いばかりか発ガン性物質でもある為使用が近く禁止が予想されます。
添加剤として、簡単にオクタン価を上げる良いものは少ないと言えます。 まして、ボトル詰めでは300〜500ml程度が限度で、その程度の添加量でオクタン価を大幅にはアップできる添加剤はメタル系以外ないと思います。
余談ですが、高年次車でバルブリセッション用添加剤が必要な場合は、必要に応じバルブリセッション用添加剤 GA-Kをご提供いたします。
酸化防止剤・防錆剤・金属不活性剤・シール保護剤
これらの添加剤は、添加量が非常に低く、また、さまざまな化学物質が使用されていますが、一般的に販売させることは殆ど皆無な為、説明を省きます。
減摩擦剤:
FMは摩擦調整剤とも呼ばれ、市販添加剤の中でパワーアップなどと謳われるものに多く使用されています。 ココアミドやGMO(グリセロール・モノ・オレイト)等多くの油性剤が使用されているようです。 確かに少量添加し続ければ、燃費やパワーに良い結果が得られるかもしれませんが、低速で短時間運転することの繰り返しや、直噴エンジンに対しては、燃焼室の汚れCCDを増加させる傾向があると予想され、適切な添加量や、清浄剤との組み合わせが必要と思われます。
これとは別に、フッ素樹脂系添加剤があります。 多くはエンジン油に添加し使用し,エンジン内部の摩擦や磨耗を低減します。 しかし一部には燃料に添加し、燃料ポンプの磨耗や摩擦を低減するタイプもあります。 これらの添加剤は、汚れている表面にはフッ素樹脂の皮膜は形成されにくい為、清浄剤で汚れを取り除いた後に使用することをお勧めします。
水抜き剤
水抜き剤はアルコールを用いたものが殆どです。 アルコールは、水を抱き込みまた燃料油にもとけるため、タンクの水を燃料と共に運び燃焼させてタンクの錆を防止します。 しかし、アルコールの酒類によっては、シール剤を傷め、配管接続部から漏れが生じたりすることもある為、自動車メーカーでは、使用を控える、或いは禁止している会社もあります。 この為、使用する場合には、シール類に問題ないと書いてあるものを選び添加量を守ることが重要です。 正直に言えば国産ガソリンエンジン車であれば必要ないと思います。 また、一部のハイオクやレギュラーガソリン(例えばI社のガソリン)には、防錆剤が入っており、その効果も非常に高い事も付け加えて起きます。 レストア中の車で、燃料タンクの錆でお悩みの方には、GA-S54をご提供いたします。
主な添加剤メーカー:
ガソリン添加剤メーカーの多くは、米国や欧州の石油・化学会社です。 主な会社は、5社あります。
(注: 社名は一般からの問い合わせで迷惑との指摘があり、削除しました。)
添加剤の本来の目的は、あくまで、ガソリンの不足性能を補い、同時に新車の性能を維持・復活させるもので、本来の性能を超えさせるものではありません。 合成燃料油を使えば、確かにパワーはアップします。しかし同時に設計された以上のパワーが出るため、余計な負荷がどこかにかかってしまいます。 最悪ヘッドのガスケットの破損等、エンジン自体を壊す恐れもあるのです。 その目的に合った添加剤を選び本来の性能を最大限生かすためのものであることをお忘れなく。
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